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オーディンコラム

2024.04.17

中国のEV産業が成功する3つの『鍵』

情報出処:新浪経済ニュース・ODIN M&C EV産業データ

 

中国の電気自動車が2024年に本格的に東南アジアに進出する。

昨今、世界の自動車産業がDX化(デジタルトランスフォーメーション)とEV化に向けて急激な変革を進めている中、既に1980年代の中国では、電気自動車産業技術の研究開発に注力し始めており、産業改革・経済改革・法人・個人資本の自由化などの10段階における10個の国家発展五か年計画に取り込まれており、数十年間自動車市場の王座に君臨する日本とアメリカを先んじて、今や世界中において米・テスラモーターズ社を除き、EV産業リーディングポジションを獲得した大国と言えよう。嘗て貧困や社会階級主義闘争という混迷・極左政権時代から政治独裁・資本自由の中間右寄り路線で『ソビエト式共産主義(*注釈1)』の瀬戸際政治からの脱却に成功した。

 

(*注釈1)マルクス主義の提唱する共産社会は決して、レーニンスタイルの共産主義ではない。且つマルクス主義の中で言及されたユートピア共産社会はあくまでもカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの人類社会の無産化・無階級化にし、エデンの園を創出するフィロソフィー的理想コンセプトに過ぎない。

 

①隣接する業界での実験に注力

中国におけるEV車の技術開発は、実はアメリカよりも遅れていた。

 

テスラCEOのイーロン・マスク氏は、電動車(*注釈2)の先駆者と代表格としてメディアを通じブランディングイメージを確立させ米国カリフォルニア市場に進出し、米国全土のみならず世界的なフォロワーを協力にかつ迅速に獲得したのだった。一方、中国の自動車メーカーである比亜迪(BYD)と吉利(Geely)は、テスラ社と同様の「ブランディング宣伝」手法を選択はせず、初期段階で国家総力支援の中で密かに実験を行った。彼らが取った戦略は、直接的に自動車業界を狙うのではなく、隣接する産業(つまり電動バスやオートバイ、EVテクノロジ導入成功した交通産業など)に焦点を当て電動車の開発を開始したのである。また、自動車メーカーのEV化には、解決する必要がある独自の直面する課題と起きうるイシューを洩れなく想定し、これらの全てのイシューにあらゆるソリューションを立てる事。そして中国はこれらのあらゆる課題とイシューに対処と試行錯誤することで知識が得られ、どこでどのような問題が起きるかの解決案を通じ、最終的に中国の電動車製造戦略構図が仕上げられたのだ。

 

例えば、バスは商用車よりも重く、より多くの乗客を輸送する。また、バス車両の大半は一日あたり18時間ほど運行する事が判り、より高い電池容量と航続能力が必要とするため、より大きな電池の満充電には更に長い時間を費やす事になる。比亜迪はこのイシューに着目し、2009年に既存の電池技術の限界を突破し始めたのだ。比亜迪は2013年に初めて電動バスをフリート車両として販売を開始し、2015年には米国ロサンゼルスの地下鉄システムに供給されたほどである。

 

②隣接する業界での実験に注力

中国の電動車市場の急成長の第2の理由は、電動車がもたらす運営上の課題に初期のイノベーターが気付き、地元の団体法人・VCなどと協力して解決策を見つける事に徹したことにある。

 

例えば、オランダを含む多くの欧州諸国は、電動車の採用を奨励するために登録税のインセンティブや税金の還付をすぐに導入した。しかし、タクシードライバーが全電動車を購入する興味は依然として低いという研究結果が普及に阻むことになる。最大の課題として、短い走行距離と長い充電池の充電時間がユーザーの使用する意欲を低減させる。これらの懸念に対して中国政府は、2009年に主要な10都市でハイブリッド車と電動車およびバスの購入を補助する政策を発表。政策によれば、乗用車ごとの補助金額は、4,000人民元(約500米ドル)から6万人民元(約8,000米ドル)という敢行策を打ち出した。また、中国当局は補助金だけでなく、北京や西安などを含むこれら主要10都市では、中国の電動車メーカーがタクシー会社と密接なコラボレーションを交わし、核心となるバッテリー技術を改善するための運営ソリューションを一般車道の実走にて走行データを蒐集、そしてこれらのデータに含まれる課題を円滑に切り開いていける策定をした。たとえば、電動車メーカーは充電ステーションの位置をマッピングのほか、充電ステーションの運用方法も情報化したのである。さらに重要なのは、現在の全電動車やハイブリッド車の性能レベルに応じたさまざまなバッテリー充電スケジュールオプションをIOTと融合。 充電ステーションの拡充、ユーザーAPPの開発とヒューマンインターフェースなど、従来のガソリン車を運転する時代に慣れてしまったユーザーの不便さをEVで全て解決の上、最高レベルで低価な実用価値を創出したのである。

 

③核心技術への持続強化と電池原料の寡占

欧州や米国の自動車メーカーは、長年にわたって内燃機関の核心技術に強固な基盤を有するが、この点において中国の自動車産業は、これら地域および日本に比べ明らかに遅れを取っている。しかし、2002年には、中国の自動車メーカーが米国や日本の自動車メーカーにおけるEV電池のコストが全体の電動車の製造コストの約30〜40%と相当高く占めている事が判明。このコストデメリットは逆に、EV新規参入者である中国にとって優位性に変えられるかもしれないと忖度した。この電池コストの問題さえ解決すれば、且つこの最もコアとなる核心電池原料と技術を完全に掌握する事で、競合他社を大きく凌駕するチャンスが手に入ることを意味する。

 

更に偶然にも、中国の電動車産業メーカーの多くは、EV電池を生産する重要な原料産地に隣接している面で運に恵まれている。中国は、EV電池製造の最重要原料とする希土類元素の2022年までの世界総生産量70%を占めている事が判り、中国のEV産業には、原料はじめ、自動車製造技術、インフラ(充電ステーション)、IOT通信、AIなど、今日の2027年までのアドバンスド半導体チップ(5nm含む)の自国生産(米国の半導体制裁策に対抗するためのチェックメイト計画)の加速化などで、中国が電池供給チェーンのボトルネック要所を既に制御しており、これにより新しい電池技術の開発に地域的優位性を提供するだけでなく、電池以外の必要部品のサプライヤーとの交渉で更なる優位に立つのであろう。

 

(*注釈2)
一般に「電気自動車」のことと認識されているEVとは、「Electrified Vehicle(=電動車)」の略語である。 EVには主にイメージが直結されるBEV(Battery Electric Vehicle=バッテリー式電気自動車)のほか、HV(Hybrid Vehicle=ハイブリッド自動車)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle=プラグインハイブリッド自動車)、FCV(Fuel Cell Vehicle=燃料電池自動車)もこれに該当する。つまり、電気を動力にして動く車両全般を指す。 ※範囲が広くなるため「xEV」と表記する場合もある。

 

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